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さくらのIoT

さくらインターネットは2017年にIINとPLMNを総務省から割り当てを受けました。これにより、キャリアに紐付かない独自の番号が入ったSIMカードを製造する事や、さくらのIoTで展開している端末設備にユニークな識別番号を付与することが可能になり、番号は主にモバイルネットワークで利用されます。当社はトライアンドエラーを重ねて以下のような内容で進めました。番号の申請内容に付随して、電気通信番号を利用する端末が、技術基準に適合している旨の証明、責任分界点の細かな設定・説明が必要です。また他の規則(端末設備等規則)や法令(電波法)に係る情報も求められます。これらを踏まえてPLMNの認証取得の流れを当社の実体験を基にご紹介します。

PLMNとは?

PLMN(Public Land Mobile Network)とは、携帯電話事業者の国際的な識別番号です。5桁で構成され、先頭3桁はMCC(Mobile Country Code)で国ごとに番号が変わり、日本には440と441が割り当てられています。下2桁はMNC(Mobile Network Code)で、各国内の事業者コードで、こちらも世界中で利用される一意の番号となるため、管轄は同じく国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ITU-T)です。PLMNの用途は大きく2つあり、MNOが設置する携帯電話基地局の事業者識別に用いられることと、SIMカードにICCIDとは別に付与される、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)のプレフィックスで利用されます。

PLMN番号構成

PLMN-ID

PLMN-IDとは、MCC+MNCの5桁(⼜は6桁)の番号のことです。PLMN-IDを基地局から報知することで、端末設備は基地局がどの事業者かを把握可能となります。総務省が認定するMISIの指定状況は年々増加をしており、従来は携帯電話・全国BWA事業者(日本全国において公衆向け高速データ通信を行うサービスを提供している事業者)を中心に番号指定をしておりましたが近年のITサービス普及の増加を背景に、その他事業者の登録も増加しています。

IMSIの指定状況

参考:IoT時代の電気通信番号を巡る現状等について(IMSIの指定状況)総務省

PLMNの利用目的と使い方

PLMNの主な利用方法は、電波(ビーコン)が各社の携帯電話基地局から報知され、事業者が提供しているサービスへ接続するために利用されます。

スマートフォン通信における電波を利用した通信の仕組み

電波(ビーコン)

各社の携帯電話基地局が自身のPLMNを電波(ビーコン)として報知することで、利用者の端末が契約された事業者へ自動的に接続するために利用されます。docomoですと44010、auだと44050/44051、SoftBankだと44020を基地局から報知しています。自動的に、と書きましたが手動で事業者を選択することも可能です。この図はiPhone7において周辺で報知されている事業者コードをサーチした時のスクリーンショットです。

iPhoneネットワーク設定画面

IMSI

IMSI(International Mobile Subscriber Identity)は、モバイルネットワークにおける加入者の識別番号で、ネットワーク内でのアクセス制御のキーとしても利用されます。ICCIDはICカード固有の番号ですので変わることはありませんが、IMSIはOTA(Over The Air:遠隔でカード内の情報を書き換える技術)により書き換わる可能性があります。日本において、IMSIは総務省により 電気通信番号 として割り当てられます。皆さんよくご存知の電話番号も、電気通信番号の1つです(モバイルの世界ではMSISDNと呼ばれています)。IINもPLMNも申請自体は総務省に行うのですが、番号の管轄はITU-Tなので、番号割り当ての審査基準を満たせば裏で代理申請を行ってくれるという形になります。

ICCIDに含まれるIINとは?

IIN(Issuer Identifier Number)とは、ICカードの固有番号(ICCID)を発行する先頭最大7桁のプレフィックスです。世界中で利用するため、この番号はITU-Tが管理をしており、電気通信事業用途で利用する場合は総務省を通して番号の申請を行う必要があります。

PLMN認証取得の流れ

当社は申請内容に対してのフィードバック対応や他の法令に係る確認等で、PLMN取得にまるまる3ヶ月要しました。電気通信番号規則に基づき、電気通信番号申請書への記入を行います。事項書の内容は以下の通りです。

  1. 電気通信番号を必要とする理由
  2. 必要とする電気通信番号の数及びその根拠となる需要の見込み
  3. 必要とする電気通信番号の数に係る電気通信役務の提供の計画
  4. 電気通信番号を管理する方法
  5. ネットワーク構成図
  6. 別表第2に規定する要件を確認できる事項
  7. 別表第3に規定する要件を確認できる事項
  8. その他電気通信番号の指定のために特に必要な事項

書式を見たい方は電気通信番号申請書で誰でも申請書を閲覧することが可能ですので、電気通信番号の概要と割り当てフローを説明している(電気通信番号制度概要(総務省))を参照して下さい。

またこれと合わせてIINの申請も同時に進めておりましたので、IINの申請方法もご覧ください。

番号の割り当て

往訪から取得まで約3ヶ月の道のりでしたが、無事に番号を取得することができました。今回は、番号の概要と、その取得の道のりについて解説しました。興味のある人にとって、普段見られない事業者の裏側が垣間見れる記事は非常に新鮮でわくわくするものがあると思うのですが、いかがでしたでしょうか。国際電気通信連合(ITU)によって取得内容は公示されますし、あえて隠す必要も無いので、せっかくですからIoTチーム活動の軌跡の1つとして書かせてもらいました。また、当社も申請をするさいに情報が少なく困難な場面も多かったのですが、同じく番号取得をお考えの他の事業者の参考にもなれば良いなという気持ちです。番号取得は、まだまだ序章に過ぎません。さくらインターネットは、IIN番号とPLMN番号を活用し、更なるサービス価値の向上を目指します。

参考
2017年12月公開、2023年1月更新