さくらのIoT

導入事例

直方市の調査検証業務を遂行するシステムを受託

直方市役所
産業建設部 商工観光課
産業イノベーション推進係 係長
米澤 隆司 氏

アドバンテックテクノロジーズ株式会社は、福岡県直方市に本社を置く産業用PC、IoT製品の開発・製造・販売を行う企業です。1966年に立石電機(現・オムロン)の系列会社「直方電工株式会社」を設立。2019年に台湾Advantech社のグループ企業となり社名を「アドバンテックテクノロジーズ株式会社」へと変更。

現在では、産学官連携を含めたAIとIoTの社会実装を加速する「Edge+」をプラットフォームコンセプトとして活用し、お客様からのご要望に応えるため、また社会的・産業的課題の解決のために、エコパートナーとの共創を大切にしています。

同社が位置する直方市内には一級河川「遠賀川」が流れています。その遠賀川から堤防を通る水流をコントロールするための水門として各所に「樋門」が設置されています。遠賀川には、地域の歴史的な背景もあり、全国の一級河川における樋門の2割弱が集まっており、約1,000箇所にも及びます。そのうち、約7割にあたる樋門が現在も手動で開閉する形式となっています。

「遠賀川の樋門の多くは国や福岡県が所有していますが、管理は直方市に委託されています。さらに、直方市ではその委託業務の一部を各地域に住んでいる方に再委託をして、樋門の開閉はその操作員の方が行っています」(米澤氏)。

手動式の樋門は緊急時、人の手で開閉できるようになっています。しかし近年、開閉を担当する「操作員」は60歳以上が75%以上を占めています、また、樋門の開閉は日中でも発生するため、日中勤務をしている若年者を充てることはできません。そのため、今後の樋門管理の高齢化は行政課題として顕在化していました。

この社会課題を解決するため直方市では、「直方市遠隔監視制御型樋門管理システム(以下、樋門管理システム)」の調査検証業務をプロポーザル方式で公募。その結果、同社が受託しました。

数が多く改善のメリットが大きい既存の手動式樋門をIoT化

遠賀川の樋門には3つのパターンがあります。全体の7割を占める手動式の樋門、樋門のそばにある制御盤内ボタン1つで開閉ができる電動式の樋門、無動力で動くフラップゲート式の樋門の3つです。フラップゲート式の樋門は人手も動力もいらず効率的ですが、コストはかかります。

「樋門管理システムとして弊社側から提案したのは、手動の樋門を遠隔制御で電動化するものです。手動の樋門を遠隔制御するために、樋門にギアユニットを取り付け、モーターで樋門を開閉できるようにし、それを産業用コンピューターで操作できるようにしました。信号を送信して、遠隔で樋門の開閉をするわけです」(村益氏)。

同社では、樋門管理システムを構築する上でネットワークのセキュリティ面も考慮しましたが、通常の4G LTE網でセキュリティを確保しようとすると、VPN装置を導入する必要が生じます。そこで着目したのが、閉域網で高セキュアなIoT向けSIMを提供している「さくらのセキュアモバイルコネクト」でした。

ネットワーク自体も仮想的に構築できることから、将来を見据えた拡張性やセキュリティを含めたメリットを感じ、さくらのセキュアモバイルコネクトを採用しました。また、専用SIMを持つデバイスからのアクセスに限定した閉域ネットワークを構築するためにクラウドデータベースとして「さくらのクラウド」を採用しています。 「産業用の高セキュアなSIMを提供しているクラウドサービスは、さくらのクラウドが利用できるさくらのセキュアモバイルコネクトだけでした。他のサービスもいくつか検討はしてみましたが、シンプルな構成でセキュリティが担保されており、柔軟にサーバーを構築できることが樋門管理システムのニーズに大きく合致していました」(村益氏)。

樋門管理システムの実証実験、第一段階をクリア。

樋門管理システムでは、データベースに対して制御用コンピューターが定期的にポーリングを行い、信号を受け取ったときにそれを拾って制御する仕組みを持っています。

「実証実験で試作したシステムではデータベースサーバーに負荷が偏ってしまっていたので、将来的にはそこの改善を考えています。一極集中型ではなく分散型のデータベースに変えるなど、今後は冗長化に取り組んでいきたいと考えています」(村益氏)。

樋門管理システムの実証実験は2021年3月19日に終了しました。ただ、この取り組み自体がすぐに完成するわけではなく、今回の実証実験で第一段階がクリアできた程度です。

「本実証実験では様々な問題点が浮かび上がってきましたので、実用化に向けた次のフェーズを検討している段階です」(米澤氏)。

さくらのサポートからは的確で満足する回答が
レスポンス良く返ってくる

アドバンテックテクノロジーズ株式会社
経営企画部 ビジネスディベロップメントマネージャー
村益 寛紀 氏

今回の樋門管理システムを構築するにあたり、同社ではカスタマーサポートをうまく活用しています。

「サポート担当の方はネットワークに対する知識が豊富ですし、弊社側から『このような構成のネットワークを組むにはどうすればいいのか』と相談すると、それに対する的確なアドバイスをいただきました。また、なにか質問をしても当日や翌日には回答が返ってくるなど、かゆいところに手が届くカスタマーサポートだと感じています。このようなサポート体制により、弊社としても安心感を得ることができました」と村益氏は当時の状況を振り返ります。

また、さくらインターネットがサイトで公開している様々なTIPSも参考になったといいます。さくらインターネットのTIPSは膨大な量のため、どれを参考にすればよいかすぐに見つからないことがあったそうですが、その際にはサポート担当者が的確なTIPSを探し出してくれたと村益氏は話します。

「カスタマーサポートに問い合わせをして、的確で満足な回答がレスポンス良く返ってくるところは他にはないと思っています。そんな回答がいつでも得られるということは、カスタマーサポートに技術に詳しい方がいるということ。その点は技術力を売りにされているさくらインターネットならではと思います。今回の樋門管理システムは3カ月余りという短期間で構築しなければいけませんでした。カスタマーサポートのレスポンスの良さと回答の的確さは弊社としても求めていたので、大変助かりました」。

同社が推進している「Edge+」コンセプトとクラウドは切り離せないもの。「さくらインターネットのサービスは有意義で活用しがいがあるので、今後もさくらインターネットとタイアップを組みながら、お客様ニーズや社会的課題の解決を図っていきたい」と村益氏は語っています。

アドバンテックテクノロジーズ株式会社

事業内容
  • 産業用PC、IoT製品の開発・製造・販売
  • 産業用電子機器の開発・製造受託サービス(DMS)
設立

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