さくらのIoT

シェアリングエコノミーは、経済・社会を豊かにするサービスとして近年とくに需要が高まっています。本記事では、シェアリングエコノミーの概要や種類・事例、注意点、シェアリングエコノミーにおけるIoTの活用などについて解説していきます。

後半では、実際にシェアリングエコノミー事業を始める際の注意点などにも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーとは、個人や企業の持つモノ・場所やスキルなどを必要な人に貸出、収益を得る新しい経済の形のことです。インターネット技術の発展により、近年急速に市場が拡大しています。

身近なシェアリングエコノミーの例としては、個人が自家用車を利用してタクシーサービスを提供するライドシェアリングや、自動車を一時的にレンタルできるカーシェアリング、インターネットを通して会社や個人などに資金提供するクラウドファンディングなどが挙げられます。

また、シェアリングエコノミーの特徴として、BtoBよりもCtoCが多いことが挙げられます。
CtoCが多い理由としては、個人が使っていない車両・建物などの資産やスキルを必要としている人へ効率的に提供できること、利用者は多くの選択肢から自分のニーズに合ったサービスや商品を選択することができ、それらを安価に利用できることだと考えられます。

シェアリングエコノミーの市場規模

シェアリングエコノミーの市場規模は年々拡大し続けており、現時点ではその規模は既に2兆円を超えています。また、2030年には14兆円を超えると予想されていることから、今後更なる市場規模の拡大を期待できる市場だといえるのではないでしょうか。

【参照】https://sharing-economy.jp/ja/20220118

シェアリングエコノミーが注目される背景

近年シェアリングエコノミーの注目度が高まり、市場規模が拡大している背景には、インターネットやスマートフォンの普及、消費者の価値観の変化、IT技術の進化などが挙げられます。そのなかで、IoT技術の発展もシェアリングエコノミーの普及を加速させたといえるでしょう。

IoT(Internet of Things)とは、さまざまなモノをインターネットに接続する技術です。家庭用の電化製品、自動車などの身近なモノがインターネットに接続されることで、自動化やリアルタイムの情報提供が可能になります。

IoT技術がシェアリングサービスに利用されている代表的な例として、カーシェアリングサービスが挙げられます。カーシェアリングとは、カメラやセンサーを駐車場に取り付け監視することで、車両の利用状況を把握する仕組みになっています。

この仕組みにより、利用者は事前に車両の空き情報を確認でき、スムーズに車両を予約することが可能となっているのです。

シェアリングエコノミーサービスの種類

シェアリングエコノミーは大きく分けて以下の6つの分野に広がっています。

シェアリングエコノミーの分野 具体例
空間をシェアするサービス 民泊、駐車場シェアリングなど
移動手段をシェアするサービス シェアサイクル、カーシェアなど
ものをシェアするサービス フリーマーケットなど
スキルをシェアするサービス 家事代行など
お金をシェアするサービス クラウドファンディング
鍵をシェアするサービス 鍵の受け渡しサービス

ここからは上記のシェアエコノミーサービスの具体的な事例についてみていきましょう。

空間をシェアするサービスの事例

空間をシェアするサービスの事例として、場所のシェアサービスと住まいのシェアサービスの2つについて解説します。

場所のシェアサービス

場所のシェアサービスとは、会議室やレンタルスペースを必要なときに予約・利用ができるサービスのことです。

サービスの多くは、スマートロックシステムが導入されており、物理的な鍵の受け渡しが不要になっています。また、IoTセンサーにより会議室の使用状況・利用率や、空室情報などをリアルタイムで把握することができます。

スマートフォンがあれば予約可能なため、誰でも気軽に利用することができることもメリットのひとつと言えます。

住まいのシェアサービス

住まいのシェアサービスとは、空き家などの物件を借り受け、複数の会員が定額で1つの物件をシェアする目的で提供されているサービスのことです。従来は主にフリーランス向けの提供が中心でしたが、都会を離れた暮らしを求める人や多拠点生活を送りたい人の需要の高まりによって注目されています。

IoT技術の導入により、予約からチェックアウトまでスマートフォンで完結するなど、便利なサービスを展開しています。

移動手段をシェアするサービスの事例

移動手段をシェアするサービスの事例として、料理の宅配サービスとカーシェアリングの2つについて解説します。

フードデリバリーサービス

フードデリバリーサービスとは、スマートフォンなどで、提携しているレストランから料理を注文し、指定した場所に配達してもらうサービスのことです。利用者は、アプリに位置情報を入力をすることで近くの提携レストランの一覧を閲覧することができます。注文が確定すると、近くにいる配達者が依頼を受け取り、商品を利用者の指定した場所に配達します。

IoT技術の導入により、利用者は配達の状況をリアルタイムで確認でき、交通状況を分析する機能により、配達者は最適なルートで配達可能となっています。

カーシェアリング

カーシェアリングとは、会員同士で車を共同利用できるサービスのことです。
通常のレンタカーとは異なり、短時間で借りることができるため、ちょっとした買い物などで利用することが可能です。

IoT技術によって、駐車場に取り付けたカメラやセンサーで、車両の利用状況を把握できるため、利用者は空きのある最寄りのカーステーションを検索し車両を予約することが可能となっています。

ものをシェアするサービスの事例

ものをシェアするサービスの事例として、リユースのシェアサービス・ファッションのサブスクサービスについて解説します。

リユースのシェアサービス

リユースのシェアサービスとは、洋服や本などさまざまな中古商品を個人間で売買するプラットフォームを指します。
フリマアプリで出品した商品を投函・発送できる無人宅配ボックスなどに搭載されたIoT技術により、便利・安心を両立したシェアリングサービスを提供している事例もあります。

ファッションのサブスクサービス

ファッションのサブスクサービスとは、月額料金を支払うことで自分の好みに合った洋服を定期的にレンタルできるサービスを指します。
リアル店舗に出向かずとも洋服のサイズやデザインを確認できるようなデジタル採寸技術を取り入れているサービスもあり、IoT技術を応用した事例といえます。

スキルをシェアするサービスの事例

以下では、スキルをシェアするサービスの事例としてクラウドソーシングをご紹介します。

クラウドソージング

クラウドソーシングとはプロジェクトやスポットの案件を保有する企業・個人が、スキルを保有する個人を募集し、発注・納品まで完結するサービスです。
シェアリングエコノミーとも関連性が高いIoT関連の案件も数多くあり、間接的に結びついているといえるでしょう。

お金をシェアするサービスの事例

お金をシェアするサービスの事例として、クラウドファンディングをご紹介します。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、プロジェクトを立ち上げた個人・法人が不特定多数の人に購入・寄付などといった形態で資金を調達する仕組みを指します。
クラウドファンディングは、資金や知名度が高くないベンチャー・スタートアップでもチャレンジできるため、IoT技術を活用したベンチャー・スタートアップの利用も増えています。

鍵をシェアするサービスの事例

鍵をシェアするサービスの具体的な事例として、鍵のシェア・民泊のシェアに大別して解説します。

鍵のシェア

鍵のシェアサービスとは、不特定多数の人が鍵の発行・受渡をおこなうサービスを指します。
IoT技術が活用されているケースとしては、物理的な鍵やデジタルキーなどの発行・受渡しと、時間・利用者情報・位置情報などを掛け合わせることによって、いつ・どこで・誰が鍵を受け取ったのか明確にすることができるサービスもあります。

民泊のシェア

民泊とは、所有する物件やスペースを不特定多数に貸し出すことを指し、シェアリングサービスの1つといえます。
IoT技術が民泊に活用されている事例もあり、ビッグデータ収集による宿泊需要予測や宿泊料算出に役立っています。

シェアリングエコノミー事業を始めるときの注意点

シェアリングエコノミー事業を始めるときの注意点は、以下のとおりです。

  • 補償制度やルールを整備する
  • セキュリティ面を強化する

それぞれについて、1つずつ解説していきます。

補償制度やルールを整備する

シェアリングエコノミーのサービスは、基本的に個人間での取引となるため、何かしらのトラブル・事故が発生した際の責任の所在や補償範囲が明確になっていないことが課題として挙げられます。

今後、事業拡大を望んでいる場合は、広くユーザーに使ってもらうための安心できる補償制度の設計やプラットフォーム利用時のルールを決めることが重要です。

個人での補償金額には限界があることがほとんどですので、外部の保険会社などと連携して制度設計をおこなうなど、工夫する必要があります。

セキュリティ面を強化する

同様に、個人間取引であることから、悪質なユーザーによる被害や自社への損害が起きかねないため、セキュリティ面の強化を検討すると良いでしょう。
悪質なユーザーを排除する施策としては、レビュー機能や相互評価機能、信頼性の高い決済方法の導入が挙げられます。

IoTがシェアリングエコノミーの実現を促進

シェアリングエコノミーの発展を支える重要な要素の1つとして、IoTが挙げられます。
実際に自転車シェアリング事業における自転車ロック解除などの利用手続きへの活用、スマートロックやセンサーを活用したユーザー認証や利用状況の自動化など、さまざまな事業で活用が進んでおり、IoTがシェアリングエコノミーを牽引しているといえるでしょう。

まとめ

本記事では、シェアリングエコノミーの概要や種類・事例、注意点、シェアリングエコノミーにおけるIoTの活用などについて解説しました。シェアリングエコノミーは経済・社会を豊かにする反面、セキュリティや補償などについては多くの課題もあります。

ただし、シェアリングエコノミーを牽引している要素の1つであるIoTのなかには、セキュリティ環境の優れたものなどもあるため、シェアリングエコノミーの弱点を補完した事業の実現も期待できます。
本記事を通して、シェアリングエコノミーへの理解や皆さまの事業運営に寄与できましたら幸いです。

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2024年9月公開